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2017.10.4(水)〜10.9(月) 火・水・土 ひ/みず/つち 須賀文子×増田沙織

2017.10.4(水)〜10.9(月)
12:00~18:00 最終日17:00まで

陶芸と日本画、異なる技法の作家による展覧会。

双方の作品イメージや出会いが、お互いの作品の中に取り込まれ、影響を与えています。
今展では、火を介して土による作品を制作する須賀と、水を介して土や砂からなる日本画絵具による作品を制作する増田の、火と水による表現の微妙な差異と、類似点をご高覧いただければ幸いです。


須賀文子 (陶芸) HP
岐阜県にて薪窯で作陶を行う。
<主な個展>
大阪アート啓、大丸京都店、韓国GANA ART GALLERY 家族展、東京ギャラリーpoool
松坂屋名古屋店、阪急うめだ店、ギャラリー十三夜、ギャラリー子の星、金澤画廊、岡山天満屋、
広島福屋、名古屋松坂屋、梅田阪急

増田沙織 (日本画) HP
2008年 武蔵野美術学園 造形芸術科 日本画コース研究課程修了

個展
2017′ 人の風景 コート・ギャラリー国立 ( 国立 )
2016′ 人の風景ii Gallerycamellia (銀座 奥野ビル)
2014′ 人の風景 マキイマサルファインアーツ ( 浅草橋 )
2013′ Gallery 子の星 ( 代官山 )
2012′ Gallery 子の星 ( 代官山 )、アートスペース88 ( 国立 )、ギャラリーなつか (京橋 )
2011′ K’sギャラリー ( 銀座 )
2010′ ギャラリーなつか ( 銀座 )
2009′ cafe 無花果 ( 吉祥寺 )、孔雀堂画廊 ( 浅草 )、月光荘画室1 ( 銀座 )
2007′ cafe de orange ( 三鷹 )


火・水・土 ひ/みず/つち (Saori Masuda)


偶然の出会いから年の近い、一人の陶芸家と知り合いました。
彼女のつくる作品は、荒々しく、厳しく、老練な作品でしたが、
女性的な優しさやかわいらしさを兼ね備えていました。

作品に顔をのぞかせる可愛らしさが、同世代の作家が作っているということを認識させる一方で
この老練な雰囲気はどこからやってくるのだろうと不思議でなりませんでした。
彼女自身がわかりやすく古風であったり、着物を着ていたり、そういった表面上の古さを持ち合わせて
いないことが逆に作品の謎を深めさせ、底知れない作品と彼女自身にすっかり魅了されてしまったのでした。

私は常々、風景のように自然に見える絵画でありたいと思いながら制作をしてきました。

もちろん、色味であったり形であったり、自分自身の趣味嗜好や取捨選択はあるので、無意識で描くものは
ありませんが、自らの考えを表さない自然のように意思のない画面を描くことによって
鑑賞者自身に解釈の余地を持たせたいのです。

そのためには、実際の風景をリアルに描くのではなく、ある程度抽象的に描く必要があると考えています。
制作時にはこれまで見てきた風景のイメージの蓄積と、画面に落とした絵具の染みから想像を膨らませること
が多いのですが、制作の手始めに染みを見て風景を想像するわくわくする気持ちと、陶芸作品を手に取り、
眺めた時に感じる気持ちがとても似ていることに気がつきました。

そして数年前求めた須賀さんの須恵器がその中心にいつもあり、私の理想である自然に近い風景であることに
思い当たりました。
そんなことを思いながら作品を眺めるうちに、
ふたりの作品でひとつの景色を作ったらどんな風景になるだろうと思いました。

土を練り、火を介す
土を砕き、水を介す
火と水と土。

この近いようで正反対な要素でどんな風景を作れるか
会場でお互いの作品が顔をあわせるまで見ることはできませんが
その眺めが美しいものであるよう、
初めて出会った日の透明で美しい瞳を思い返しつつ、目の前の自分の仕事に水とうまく付き合いながら制作をしたいと思います。


火・水・土 ひ/みず/つち (Ayako Suga)


2012年の吉祥寺での偶然の出逢いの後、増田さんの作品を拝見した時の驚きは今でも鮮明に覚えています。
私はその頃は、一身に桃山の古陶を目指しつつも、何か現状を打ち破りたいという漠然とした気持ちを抱えていました。
昔ながらの薪窯での焼成にこだわりつつも、なにか自分なりの表現方法はないだろうかと模索するうちに、
土とばかり向き合ってきたので、もう少し瑞々しい作品が作ってみたいと考えるようになり、
現在制作している土ものの作品の上に、水が流れるように色々な色をのせてみる技法を六花釉と名付け、挑戦するに至りました。
そして近年にようやくその想いが少しずつではありますが、作品の形となって表現できるようになりました。
まだまだ発展途上ではありますが、行き場を探していた自分の制作に対する気持ちに、ようやく着地点を見いだせたところです。

『火・水・土』
私にとっては、初めての二人展となります。普段は自己との向き合いで完結してしまうところに、他者とのやり取
りが介入することは、とても刺激的な体験でした。
そして今回の企画展に向けてお互いに手紙や写真のやり取りをする中で、自分の六花釉の作品が、強く増田さん
の影響を受けていることに気がつかされました。

それはまるで、いつのまにか降り積もって地層となるかのような静けさだったので私自身も気がつかずにいたので
すが、以前に拝見したアトリエで制作過程での水や砂の使い方なども、私の中の深い部分に浸透していたようです。

私自身はこれからは薪窯による土の焼成に六花釉の瑞々しさをどれだけ調和させていく事ができるかに重きを置
いていきたいと考えています。
しかし、その途中で、また新たに増田さんの絵画に影響を受けたら、その方向性も少し変化を持つかもしれません。
もしかしたら、この会期中にも。

土師氏から始まり、桃山から受け継がれて来た陶芸という仕事に自分も携わり、古の陶工たちはどんなことを考え
ながら焼きものを作っていたのかな、とよく考えながら制作していましたが、現代の作家さん、しかもジャンルが
違う作家さんにこんなに影響を受けることがあるとは、想いもよりませんでした。

この画家の絵の変遷を見ることができることに、
この画家と同じ時代に生まれたことに幸せを感じつつ、
古くから続く陶工たちの奔流の一部であるということに誇りをもって、これからも制作していきたいと考えています。